Film Photography

恐ろしく長い時間をかけて制作される刺繍と、相反する存在こそがフィルム写真撮影である。

刺繍が時間の経過を縫い付ける行為であれば、
フィルム写真は、その不可逆的な時間の流れを断ち切る行為だ。

どちらにおいても、時間は私の敵となり、同時に最大の味方ともなりうる。
それは孤独な創造行為である。

たった一枚の写真のために、一時間シャッターチャンスを待つことがある。
だが、作品が成立するのは、何秒分の一の時間である。
そして私は、同じ被写体には一枚分しかシャッターを切らないと決めている。

私がフィルム撮影にこだわるのは、
時間の不可逆性に抗い、そして同時にそれを受け入れるためである。

Flower

古今東西、刺繍図案に草花が用いられてきたのはなぜだろう。
それは、曲線が美しいからだ!

私が花を撮るときに気をかけていること
1.花には触れず、摘まず、持ち帰るのは写真だけ。
2.二つの像を組み合わせ、空想の花畑を生み出す。
3.時間が許せば、そこに住む生き物を登場させる。

Heritage

私は刺繍の根源を探るため、古代遺跡を訪れる。

刺繍の原型は、紀元前三万年頃にはすでに誕生していた。
人々は骨の針を用い、動物の腱や植物繊維で衣服を装飾していたという。
衣服が生まれた文化には、必ず刺繍芸術が存在する。

先人たちが耕した土地を彷徨い、
先人たちが暮らした建物に足を踏み入れる。

そこにはかつて、刺繍をしていた者がいたのかもしれない。
その者が見ていた景色を、私は記憶しておきたい。